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2008年12月19日 (金)

Memory of 19 Vol.7・・・

Infected Mushroom-Heavy weight

腕時計も何も持っていなかった私は、商店街の時計柱で時刻を確認すると

「うわっ!やっべー!!」

と、足を速めた。

寮までは電車を使って帰るのだが

時刻はすでに最終電車が終わってしまう時間まで

あと15分程度しかなかったのである・・・。

先輩と待ち合わせた居酒屋には、もうすぐまで来ていたが

もし先輩がそこにいなかった場合、最終電車はぎりぎり間に合うかどうかで

それより何より、規律厳しい寮の門限には絶対に間に合わない・・・。

「マジでヤバいぜ・・・」

先輩が一緒であれば

暗黙の了解のうちに、そんな門限さえも許されることなのだが

もし先輩がいなく、私一人だけで帰ったとしたら

寮の規則に反したとして

どんなことが待ってるかも考えられないくらいの、ヤバい状況だった・・・。

そう考えると、さっきまでの夢の世界が全てすっ飛び

今度は厳しい現実世界に戒められ、青ざめながら脅えた・・・。

もう待ち合わせの居酒屋に、先輩はいないかも知れないと思った・・・。

けれどそこに行かなければ、この現実の先は無い。

いや、もし先輩が私と同じく、夢のような想いをしていたとしたら

先輩がこの待ち合わせ場所に着くのも

きっとこのくらいの時間になるだろう・・・とも思った。

そんなこんなで息を切らしながら、居酒屋のビルに辿り着いた私は

思い切り願いと祈りを込めて、店のドアを開けたのである・・・。

 

先輩の姿は

開けてすぐの、カウンターの前にしっかりとあった。

本当に救われた・・・。と、思った・・・。

けれど、ほっとするのもつかの間

先輩の顔を見るとすっかり酒が入り

しかも、その目はもの凄い眼光で私を睨みつけている・・・。

思わずビビって先輩の眼光から目を伏せた。

「うぅぅオイッ!!!」

まるで猛獣さながらに、先輩が私の顔を見るなり吠える・・・。

「すませんっ!!先輩っ!!遅くなってしまいました・・・。」

と、取りあえず姿勢を正し、開口一番深々と頭を下げ、丁寧に謝った・・・。

「取りあえず座れっ!!」

「ハイっ!」

絶対殴られると思ったので、その場の床に正座しようとすると

「つか、何してんだ!こっち!こごっ!!」

と、隣の椅子を引き、指をさした・・・。

「はい・・・。」

ものっ凄い遠慮する素振りをみせながら

ワザとらしいくらい申し訳なさそうに、先輩の横に私は座る・・・。

「オイっ!どうだったの?・・・先ず?・・・」

そう問いかける先輩の目を見ると、口元以外は全然笑っていないことが解り

取りあえず、あたりさわりのないことを答えなくてはと、切り出した・・・。

「はい・・・。先輩のおかげで、いい想いをすることが出来まし・・・ぐえぇっ!!」

「た。」と、言い切る前に

先輩の丸太のように太い腕から生えた

グローブみたいな両手が、私の首を締めつけ、そのまま頭を揺らした。

これには本当に殺されると思って

夢中でタップをしながら先輩の肩を叩いた・・・。

気が遠くなり、「落ちる」寸前に先輩の手が離れ

普通に「げふぉっ!げふぉっ!」と咳きこんだ私は

すぐに姿勢を正すと、先輩に向かってまた頭を下げた。

「す・・・すません゛っ!!!」

「ぜんっ・・・ぜん、怒ってないしっ!!」

と、言った先輩の言葉に顔を上げると

先輩は目の前のジョッキを豪快に、一気に飲み干した。

と、同時に「ドンッ!」

ジョッキが割れてしまいそうな勢いで、カウンターに叩きつけるように置いた。

「もう行くぞ!!」

と、腰を上げる先輩に私が「はい!」

と、返事をするも、その返事に重なりながら先輩も切り返した。

「お前のおごりな!ここっ!!」

え~っ?!とも思ったが、ここは素直に返事をすることにした・・・。

「うっすっ・・・」

 

駅までのタクシーを拾い、何とか終電に間に合うことができた私達二人・・・。

私は週末の、終電の人の多さに感心しながら

居酒屋の会計金額を思い返し

レジをしてくれた店員の言葉も、同時に思い返していた・・・。

「お客様、お一人様で、ずいぶんと長い時間座られていて

お酒の量もかなり進んでいたので、心配をいたしておりましたが

お連れ様のお迎えが来てくれたので、本当に助かりました・・・。」

合計金額¥12,000の数字に

わなわなと震えながら立ちすくむ私に

店員がいらぬ感謝を小さく呟いたあと、私も小声で店員にそっと問いだした。

「あの~、あの方、何時頃からここにいました?」

「ん~・・・開店して間もなくですから、7時前くらいですかね・・・。」

「・・・・・。」

その時刻は丁度

私は彼女と居酒屋に入って、すぐくらいの時刻である・・・。

 

人が多いと云っても、流石に終電ということで

先輩の隣の座席に座ることも出来たが

私はあえて先輩に遠慮し、先輩の斜め前の吊革に捉まり立っていた・・・。

電車が走り出してすぐの、次の駅にも到着しないくらいの、ほんの僅かな時間に

先輩は大きな体を固まらせながら、普通に眠り込んでしまった・・・。

またしばらくすると先輩は、吊革につかまりながら立つ私の目の前で

予定外に呑み過ぎた酒のせいなのか、一切周りを気にすることも無く

デカイ口を開け、猛獣さながらの「大いびき」をあげ始めた・・・。

かなりの不快な騒音に

車両の中が「何事だ?!」と、ざわつくほどの「いびき」を発しながら

デカイ体にデカイ怖顔で爆眠する先輩の姿は

どっからどう見ても、愛しさを感じさせることは皆無であるが

腕を組み、少し眉間にしわを寄せながらつぶる先輩の瞼を見ていると

その姿は、冬が近づく仙台の冷たく寒い秋の夜風よりも

数倍哀愁が感じられる思いがした・・・。

やっぱり先輩は、金メダリストでもなんでもなく

どっからどうみても先輩は、変わらず、そのままの先輩であった・・・。

哀しいかなこれが、納得できる現実の答えだった・・・

ような気がしてしまった・・・。

そして、その哀しすぎる現実を眺めていると

何故か突然、私の中に寒気が走ったのである・・・。

 

いつもの

寮の大きい風呂とは違うシャワーと、裸で過ごした時間があったため

ちと、風邪を引いてしまったかな?と、思った・・・。

到着駅が近づくにつれ、それは断じて違うことに

私はやっと、気が付いた・・・。

と、同時に、その寒気は更に一層強まり

今度は思わず、「おぉぉ・・・」と声が出るほど、大きな身震いをした・・・。

何故なら、その寒気のワケとは・・・

到着駅から寮までの

長~く、歩かねばならない道のりを

何より目の前で、高いびきをあげながら寝てしまっている

0.1トンを余裕で超えていたこの大男を

私は誰の手も借りられず、たった一人で

なんとかして、担ぎ歩いて帰らなければならないという

絶対に逃れられない現実が

今夜の、本当に夢のような一夜の出来事と、その全ての想いを

秋の夜風など、ことさら可愛く思えるくらいの

まるで凍てつきそうに冷たく寒い、真冬の嵐の強風となって

私の心の中から全て吹き飛ばし

身体は勿論、心の底まで凍えさせていたからで・・・あった・・・・・。

・・・・・

・・・

 

 

こんな物語を書いたきっかけは、九州旅行に行った折

中洲の夜の繁華街のあるお店で、私の隣に座ってくれた女の子が

歳若く、20歳になったばかりということで

鼻下を伸ばしながら、お互いの19歳頃の話となった時

恥ずかしながら私の同じ歳の頃と比べると、ずいぶん大人の世界の話だなと

妙に感心させられた会話を交わしたからだ・・・。

そこで私は当時のことを思い出しながら、自分の体験をもとに

少~しだけ色と華を加えた、Blogらしからぬ物語を書いてみたのである・・・。

 

私は常々、「普通の人生」というものは

人の人生には絶対存在しないものと思っている・・・。

例えにもならないかも知れないが

自分だけの狭い部屋に閉じこもり

外界との肌の交流を全て閉ざした生活を送っている人がいたとしても

私から観て、そのような人生もまた普通とは考えられず

逆にそのような生活を送っている人から観て

別に自慢できることもない私の人生だが

細かくある日のことを語れば、それは普通ではないと思うだろう・・・。

勿論それは、生活環境と価値観の違いと云ってしまえば身も蓋もないワケだが・・・。

人から生まれた人間であれば

どんな人だろうとその人生の節々には、大なり小なりのドラマが存在し

それを自分以外の誰かに語れば、それは全て物語となる・・・。

この世に生まれてからその役割を終えるまで

まったく同じことを繰り返すのみならば

それは人ではなく、無機質な感情の無い機械でしかないし

そのようなことは、ただの「物」のみに許されることである・・・。

人はどのようなカタチであろうと

人として生きる過程には無数の物語が存在し

それは人と人とが接することによって、無限の組み合わせの物語となる・・・。

 

私が大好きな人の物語から学ぶそれは

時に生きるためのヒントとなり、戒めとなる。

この世には、夢が叶えられる人もいれば、夢破れた人もあり

想像もつかないほどの理不尽なことに見舞われる人だっている。

しかしどんな立場であれ、それぞれの物語の真髄は

当人以外に理解することが出来ないことも、確かなことなのだ・・・。

そんな無限の物語から私が教えられたことは

どんな人生であれ、考え方を少しだけ変えることさえできれば

良くにも悪くにもなると云うことだ。

素晴らしい人生だと最後に言えた人は

きっと人生の主人公である自分の物語の最後なんかを

考えもしていない人かも知れない・・・。

それはやはり、人が存在する限り

人の物語は無限に存在し、継続し続けるワケだから。

そして私も、その人生と云う、答えのない答えと意味を探しながら

この先の、自分自身の物語をつくり続けて人生を過ごして行く・・・・・。

・・・・・

・・・

 

 

なんか、私のような人間がとても偉そうに

しかも、まるで、最終回か何かのようにまとめてしまいましたが

まだまだ私の書ける限り、このBlogは続きますので・・・。

で、実は今回の「テレクラ」ネタに関しても

この後に続くような、書きたいお話の展開があるワケなんですが

それはまた、追々機会をうかがって、ココにて披露するかも知れません・・・。

つか、このお話は、「物語」であって

私の体験したことを素にしていますが、あくまで、フィクションであります・・・。

リアルさが足りないのも、その理由です・・・。

果たして、こんな「物語」が

秋の夜長の、皆さんの暇つぶしになってくれたのでしょうか?

てなことで

何より、私のとても長くて読みづらい駄文と、駄話に

最後まで付き合っていただいた方、本当にありがとうございました!

なんでもいいので、感想コメントなんかを書いて頂けると

とても励みになるので

読んでいただいたついでに、そんなこともお願いして

このお話を終わりにしたいと思います・・・・・。

 

 

 

 

Memory of 19 ・・・・・ Fin

 

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コメント

つぃに完結しちゃったんですねconfident

大学時代に野球部にいた友人がYupee sanと同じような経験をしてて...coldsweats01

読んでてその友人を思い出しちゃいましたhappy01
体育会系の人達ってそういう通過点お決まりで付いてくるものなのかなぁ?

恋愛って初恋heart02をした時が一番ピュアだったんじゃないかなぁって思ってしまう今日この頃です
coldsweats01

年齢を重ねるにつれて自分の気持ちに正直になれなくなる要素が色々あってだんだん臆病になったりしてcoldsweats01

改めて自分の物語は?って思い返してみると色々あったりしちゃいますねbleah

今回のStory終わってしまうのは残念weepですけど、既に次回作への期待をしているので制作宜しくお願いしまsign05wink

投稿: チョロタン | 2008年12月19日 (金) 21:55

scissorseye
ごもっとも~~!(笑)
何を隠そう・・・
オカンにだって19歳の物語は確かにあった!
現在だって、「完」ではなくて「続く・・・」だよね~happy01

投稿: ENMAM | 2008年12月20日 (土) 21:02

>>チョロタンさん どもども。
ん~・・・
私達世代当時の体育会系は、まだまだ上下関係も大変厳しく
さらに精神論や根性論がまだまだ色濃く残っていました・・・。

そんな中でも、かなり自由的な思想も生まれて来ていた・・・ってな世代でもありました・・・。
で、世の中、バブル後期の超消費時代でもあり
突然発生しては、突然姿をなくしたりする、わけのわからないモノや商売が数多くあり
若気を押さえることのできない多くの若者は
生きる上で全く価値のないものまで無理して価値を求めるようになり
やれ3Kだなんだとぬかすようになり
結果多くの人が、本当に価値あるモノや大事なモノを見失ってしまいましたね・・・。

でも、今よりはまだずいぶんと、大なり小なり「夢」を求めることが多く存在していたことも確かです。

そんな中で、恋愛の方向性も少しの間で急激に変わってしまった時でしたね。
何せ、多くの若者にあふれていましたから
簡単にくっ付いては離れたり、好きだ嫌いだよりも人間としての価値は二の次で
どうでもいい容姿や社会的な立場や金銭的な見栄えによって恋愛観を見たり見られたりと・・・。
今も尚、その風潮の呪縛から
どうしても逃れられない方達も、私達の世代には数多く存在してしまっているのではないでしょうか?

何かを必至に求める姿や行動をしている時の人間が
どんな人間より人間らしさを感じ
また、そんな姿や行動している時が一番充実した生活を送れ、一番輝いて見える人だということを
もう一度良く考えなければいけない世代かも知れません・・・。

つか、またうだうだと長くなってしまいましたが
長い駄話につきあってくれて、本当にありがとうございましたsign03
近いうちに、また違う「物語」を書いてみようと思っているので
またこれからも、お付き合いして下さいませ。confident
 
 
 
 
  
>>mam どもども。
そうなんです。まだまだ続くですね!
つか、オカンの19の想い出が気になる・・・happy02
なんせ、元祖ツッパリ世代だからな。すっげ~聞きたいし、ココでのネタにしたいsign03bearing
まっ、また次のシリーズも考えときますんで
その時は是非とも宜しく!confident


投稿: Yupee | 2008年12月22日 (月) 09:20

オチが・・・。
弘樹に似てきたのでは?
てっきりその後つきあったとか旦那に脅されたとかのオチを期待してたのにw

投稿: hide | 2008年12月24日 (水) 15:49

>>hide どもども。
オイオイ・・・。本人に怒られるぞ・・・。
つか、そんなめんど~なことになってたら・・・
話的には面白いな。
なるほど。
参考にしときます・・・。一応・・・・・think

投稿: Yupee | 2008年12月25日 (木) 12:36

たのしく読ませてもらいました^^

Yupee物語に懐かしい時代が走馬灯のように頭を横切りました。

そして、つらい時代を共に楽しく過ごしたことを昨日のことのように思い出しました。

経営者としても、男としても、親父としても、
そして、人としても
成長しているYupeeをいつも感じます。

あなたはそんな気づきをいつも与えてくれる
オレの永遠の心の友。

そんな縁に心から感謝。

ありがとう。

昔話をしたい気分だけど、年末年始、会えるかな・・・

投稿: Michi | 2008年12月29日 (月) 13:53

>>michi どもども。
今回の年末年始は
残念ながら帰仙しません・・・
つか、オレ、居残り仕事があり
行きたいけど、行けない状況・・・。

またゆっくり逢って、話したいな!オレも!
つか、今年もいろいろありがとう!
来年も宜しく!
良いお年を迎えて下さい!!

追伸・・・
もう明日なんだけど・・・・
来年の年賀状も気合入れて作ったぜ!
主役はコゾー達だけどね・・・。
お楽しみに!good

投稿: Yupee | 2008年12月31日 (水) 18:42

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