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2009年1月22日 (木)

ブルー・ブルー・ブルー・・・ Vol.4

Sheryl Crow-My favorite mistake

僕はインサイドのチャンネルで待つみんなから

祝福のハイタッチで迎えられると、体中に喜びを表しながらそれに答えた。

そして興奮冷めやらぬまま

僕が今乗ってきた波の方へ振り返るように、体の向きを変えた。

すると、僕の乗った次の波をすぐに捕まえ

僕とは違うラインを描きながら素晴らしい波を乗りこなしている

55(フィフティファイブ)兄さんの姿が見えた。

そんな55兄さんの姿にみんなと一緒になって

のどがが張り裂けそうになるくらい歓喜の声を上げ、エールを送ると

きっちりインサイドまで、何回もターンをして魅せた55兄さんを

チャンネルで待つ僕らのもとに迎えた・・・。

 

55兄さんは僕らの待つ場所までしっかり乗り継ぎ

プルアウトしてすぐに僕のそばまでやって来ると

「このヤロー!やるじゃないか!!」

叫びながら僕に抱きついてきた。

その、ボードから飛び出してきた55兄さんが合図となり

僕は再びみんな揃った兄さん達全員に祝福を送られることとなった。

跨る相棒から引きずり降ろされ

今日は僕にとって「特別な日」であることを知っている兄さん達に

まるで生きている喜びを教え込まれてるみたいに

満面の笑顔で何回も海に沈められた。

そんな目に合いながらも僕は

喜びを体中で表しながら大声を上げて歓喜を叫んでいた。

そしてどうしてなのか

あの最高の波を乗りこなした実感と

本当に大好きな人達と同じ気持ちをシェアできた喜びに

苦しくもなんともなかったハズなのに

僕は何故か涙が止まらなかった・・・。

しばらくの間、5人の兄さん達に交互に海に沈められ

やっと顔を出した僕を今度は

細くて皺だらけなのに、不思議と大きくみえる手が迎えてくれた。

「ゴロー、めちゃめちゃカッコよかったぜ!」

そのしわがれた声と、皺だらけで日に焼けた真っ黒な手と顔の

何度も見た、絶対忘れることができない

大好きな、あの、笑顔のおじいちゃんの姿が僕の目の前にあり

そして僕を迎えてくれた。

「ありがとう!おじいちゃん!」

そう答えた僕の満面の笑顔の顔には

間違いなく涙がつたっていることが分かった・・・。

 

僕たち兄弟は皆、全員クローンである・・・。

だから正確には、兄弟と言って良いのかすらも分からないが

僕は生体培養液水槽から、初めてこの世に出る前から

兄さん達の姿を知っていて

僕より早く、生体培養液水槽から出た全てのクローン達は皆

誰もが僕と同じ顔であり、同じ身体つきであるけれど

その僕と同じ姿をした人間は、全て「兄さん」と呼ぶことを

僕は初めから教えられて、生体培養液水槽の外に出て来たのだ・・・。

僕たち兄弟、つまりここにいるクローン達は

水槽から産まれ、その初めの5年間は水槽の中で育ち

更にその水槽の中の5年間の間で

脳も体も、成人と呼ばれる姿にまで一気に成長する。

水槽の中でぐんぐんと

目まぐるしく成長する僕らの身体は、電気療法の仕組みで

外の生活には全く影響のないくらいの骨格や筋肉、それに臓器や神経といった

あらゆる体幹を生成するもの全てが、5年という短期間の内に授けられ

脳も同様に

普通の人間が20年の歳月をかけて詰め込めなくてはならない情報や知識を

まるで意思を持っているかのような人工知能を備えてある

完全オートの、完璧に独立制御された

「グランマ」と呼ばれるコンピューターシステムと、そのプログラムにより

たった5年の間に

心身共に全く違和感を感じさせることなく

人間として生きるために必要なあらゆることが

水槽の中で、事前に詰め込まれる。

そうして産まれてきたのが僕たち兄弟・・・

クローンだ・・・。

 

そんな反動による影響なのか

それとも神様の為す業を冒瀆したような、僕らの存在への罰からなのか

5年経ち、生体培養液水槽から出られる身体となっても

水槽から出て、外の世界を自由に動くことが出来る時間には限りがあり

更にその時間は非常に短く、約3時間程度。

その後また3時間余りを

やはりまた、生体培養液水槽の中で過ごさなければ

たちまち身体中の細胞が死滅し

僕たちは死んでしまう・・・。

更に驚くべきことに

若い青年の身体を保ったまま、僕らの成長はそこで止まり

そしてその、青年の時間が止まったままの

その身体の寿命はとても短く

僕とすぐ上の55兄さんは

優秀なコンピューター、「グランマ」の

完璧な計算システムで確立された生体管理プログラムと

おじいちゃんや兄さん達が継続し、研究し続けた技術開発の進歩と努力によって

水槽で育った期間を含めて

最長15年を人間として生きることができるようになった。

それまでの51兄さんから54兄さんまでは最長10年・・・。

その前の50兄さんから前のクローン達に限っては

生体培養液水槽から出ることを一度も叶わずに

そのまま水槽の中で、静かに死んでいってしまったらしい・・・・・。

 

  

 

 

Vol.5に続く・・・・・

 

 

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コメント

読んでいてスピルバーグslateの世界想像しちゃいましたconfident

石垣島で素潜りして遊んでた時、海の中から上を見上げた時に海中に降り注がれる日差しの心地よさを思い出しましたhappy01

Yuppy san小説bookのような世界いつかは実現してしまいそうですよねnote

投稿: チョロタン | 2009年1月25日 (日) 00:40

>>チョロタンさん どもども。
すいません。コメ返事遅くなってしまいました・・・。

>読んでいてスピルバーグの世界想像しちゃいました
いえいえ。とんでもないっす!・・・
ホント、ただの趣味なんで暇つぶし程度に
しっかり読んでやって下さい!なんちてbearing

石垣島なんか行ったことあるんですか?
すっげ~!!
つかこのお話、ネタを少しばらすと
少~し未来のお話なんですね・・・。
で、オチは・・・
もっともっと後になると思います。はい・・・。
気長に付き合ってやって下さい・・・。crying

投稿: Yupee | 2009年2月 5日 (木) 21:21

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