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2009年1月16日 (金)

ブルー・ブルー・ブルー・・・ Vol.2

Guns & Roses-Sweet child o’mine

「今日は特別な日だ!」

僕が今立っている場所周辺は、沖の海の中以外僕しかいない。

だから誰かに聞かれることもないので

僕は大きな声でそう叫びながら、相棒と一緒に海へと飛び込んだ。

海水は想っていた通りに暖かい。

ウエットスーツは勿論必要ない。トランクス一丁だ。

トランクスはすっごいお気に入りの、10年代の初期モデル。

しかもデザインは

10年代に前人未到の1ダースとなる、12度のワールドチャンプに輝き

伝説となったサーファー、「ケリー・スレーター」モデルだ。

このトランクスを履いていると、なんだか僕も自分のサーフィンが

いつも憧れ抱いていたケリーのように、なれる気がする。

それに実際サーフィンも、かなり調子が良くなるもんだから

今では相棒と同じくらいお気に入になってしまった代物だ・・・。

 

僕は、実はケリーのことを

おじいちゃんに見せてもらった映像と

おじいちゃんが教えてくれた話の中でしか知らない。

そのおじいちゃんは、サーフィンの話をする時には必ず

ボロボロになった当時のトランクスを両手に掲げながら

身振り手振りで、面白おかしく僕たちに話聞かせてくれた。

しかも何故か、サーフィンの話の大半はケリーのことばかり。

あんまりおじいちゃんがケリーのサーフィンの話ばかりするもんだから

僕はほとんど洗脳されたように、ケリーのことに夢中になってしまい

どーしてもケリーみたいなサーファーになりたくなって

何回も、何日も、おじいちゃんに必死に頼みこんで

結果僕だけが、おじいちゃんからそのトランクスをゲットすることが出来た。

そしてその、年代モノの、使い込んでボロボロになっていた物を基に

もう一度自分でリメイクし直してからは

サーフィンをするときはいつも履いている

僕にとって欠かすことの出来ない、大事なアイテムの一つとなっている・・・。

 

僕がパドルでピークに向かっている時

そのおじいちゃんが

最高のバレルを見事にキャッチし、更にメイクし続けている姿が目に入った。

その見事なおじいちゃんの姿を観たら

どういうわけか急に、思わず涙が出てしまった・・・。

だけどおじいちゃんから僕のところまでは、まだまだ距離があって

僕が今、涙を流して泣いていることなどおじいちゃんに分かるはずはない。

僕だってこの涙には、本当に不意を突かれたんだから・・・。

僕は軽く海水に顔を付け

左右に顔を振り涙を拭ってからパドルを止め、相棒に跨ると

僕の方へ向かってくるように

何秒間もバレルの中を走り続けているおじいちゃんに

両手を上げて、目一杯の声を張り上げながら歓声を送った。

するとおじいちゃんは、ライン上から少し外れた

インサイドにいる僕の姿と歓声に、すぐに気がついてくれた。

そしてバレルの中から

僕に向かってカッコつけながら、一瞬だけ「シャカサイン」を送ると

僕からはその姿が見えなくなる、更にインサイドの遠くの方まで

波の中に包まれたまま、気持ち良さそうに走っていった・・・。

そんなおじいちゃんの姿を、見送ってすぐに僕は

次々とセットを捕まえ乗ってくるみんなに向かって

何故か次々とあふれてきてしまう、止まったはずの涙を

また海水で拭いながら大声で、狂ったような歓声を上げ見送った・・・。

それをセットの数だけ見送ったあと

僕は相棒に跨った姿勢をパドルの姿勢に戻し

ピークに向かってパドルのスピードを速めた・・・。

 

「ゴロー、おはよう!」

波のピークの、ブレイクポイントである

ウェイティングポジション付近に近づいた時

僕より最初に挨拶してくれたのは

僕のすぐ上の兄さんである「55(フィフティファイブ)兄さん」だった。

「兄さん、おはよう!さっきおじいちゃん、すっげ~バレルをメイクしてたよ!」

「ああ。凄くいい波だった・・・。

そのあとも、しっかりと4本のスウェルが入って、みんな次々と乗って行ったよ。

なんせ今日はお前の特別な日だからな。

オレはお前のあとに乗ろうと思って、お前が来るのを待っていたんだぜ。」

「兄さん、ありがとう。僕もバレルをゲットして

インサイドにいるおじいちゃんにシャカサインをお返しするよ!」

「途中でコケルなよ!・・・ほら、セットが来たぜ!」

「イエースッ!!」

僕はパーフェクトな、6feetの波のピークを追いかけ

いつものように奥のビハインドピークから

レイトに、波のボトムに落ちるようなテイクオフをメイクして

そのままレールをセットすると

軽く左手で波のフェイスを優しく撫でるように、少し身をかがめながら

あとは波とボードのまかせるままに

僕はその身を、波のバレルの中に置いた・・・・・。

 

 

 

 

 

Vol.3に続く・・・・・

 

 

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