2009年2月28日 (土)

ブルー・ブルー・ブルー・・・ vol.7

Underworld-Ring Road

そんな、すげ~ワケわかんね~世代が人の親になって

「おぎゃ~っ!」つって

俺が産まれた時の日本はな、誰のおかげか

その親の生まれた貧乏くせーしみったれた時代とは

ほんと、比べもんになんね~くらい

「みんなそこそこのお金持ち!」みたいな、恵まれた世の中になってたワケだ。

で、「これからは勉強だ!」ってことで

生きていくために本当に必要かどうか、全く分かんねー内容の勉強させられて

お受験だ~なんだと、無理やりさせられた最初の世代だった。

ガキのあの頃、正直きつかったな~。実際・・・。

まっ、おかげで

親が猛反対した、生物遺伝子学の博士ってのになることができたんだけどよ・・・。

がっハッハッハ!

 

でよ~、あまりにも勉強ばっかさせられてもおかしくなっちまうだろ?

んで、まだ大学入りたての、もんもんとしたセイガクん時

ある日、実験で使う砂浜の微生物やバクテリアのサンプルを海に採りに行ったらよ

海ん中、波乗りしてるサーファーがうじゃうじゃいたワケ

「なんだこいつら?バカか?夏でもね~のに・・・」

って、最初は思ってよ。しばらく眺めてたらな

「んなもん全然簡単に出来そうじゃん。」て、見えたワケ。

外で遊んだことね~オレでも

「んなもん、すぐ出来ちゃうよ!」って。

んで、しょっちゅう海でサンプル採りしてるついでに、軽い気持ちで

「サーフィンでもすっか。」って。

したらもぉ~大ハマり。違う意味で・・・。

がっハッハッハ!

今まで外のお日様が照りつくとこなんかで

全く遊んだことねーようなオレだったから

難しいなんてもんじゃなかったね。ホント。

「奇跡だよ。奇跡!このサーフィンてやつを器用に出来る奴は!・・・。」

てなくらいのインパクトがあったね。マジで・・・。

がっハッハッハ!

そんでよ~

「遺伝子学研究してる人間様だ!」っつって、今までいてよ~

自然相手にナメテるもんだから、本当に死ぬような目にあったりさ

しかも海の上で波にすら、けっちょんけっちょんにされてんのに

人間とも格闘しなきゃならないんだぜ。「波の取り合いだっ!」つって。

もぉーね、インターネット革命よりも衝撃的だったね。オレん中じゃ。マジで・・・。

がっハッハッハ!

 

そんなだからよ、もっぱら研究さぼって海に行ったら

サーフィンばっかりになっちまったもんな・・・。

だってよそんな興奮すること知らなかったもん。それまで。ホントに・・・。

がっハッハッハ!

でな、そんなして毎日海に漬かってサーフィンしてたらさ

今まで知らなかった海のことや波のことを

実際体験して知ることが出来てよ

今まで観えなかった海のことや自然のことが観えるようになってな

そしたら自分の今までやってきた生物遺伝子学の研究や実験も

嘘みたいに上手くいくようになったんだな・・・。

だってそん時の、けっこう名のある大学の、名のある教授だっつって

俺に言わせれば、ただ威張り散らしてただけの嫌な教授がよ~

「君のヒラメキと、可能性への探求心が成す実験の成果は天才的だよ・・・。

是非僕のために、研究論文を書いてくれないかね?!」

なんつって一気に、この俺なんかが一躍天才扱いだよ?!

ほんと、マジで、それこそすんげ~奇跡・・・。

がっハッハッハ!

でよー、まだこの奇跡っつ~のが続くのよ・・・・・。

 

 

 

 

Vol.8に続く・・・・・

 

 

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2009年2月26日 (木)

ブルー・ブルー・ブルー・・・ vol.6

Oasis-The Shock Of The Lightning

じいちゃんち世代はな

その日本がボロクソに負けた、でかい戦争後の

そりゃあ~、ものすげえ~いっぱい子供がよ

あっちこっちでポコポコ産まれてきたときのな

そん時の子がよ、親になっちまった時、「おぎゃ~っ!」つって

産まれてきた世代なんだよ・・・。

 

でな、俺たちが生まれた時代の、日本の世の中はよ

すでに生活水準はある程度は安定してきてはいたんだがな

その前の世代がガキの頃は、まだまだ貧乏~くせえ~世の中でな

日本の国中、ただひたすら「頑張れ~!頑張れ~!」

って、やってた時代だったのよ・・・

 

そんときの俺らの親世代

つまりこんとき、まだ若かったその奴らがよ~、これまたクセもんでよー

なんせこいつら、やたらと頭数がそろっちまってるもんだからよ

少し体がでかくなって知恵が付くようになったら

その頭数にもの云わせて、いろんなことおっぱじめたワケだ・・・。

本当に同世代の奴らが、ものすげ~いっぱい、そこいらにあふれてたんだろうな・・・

なんとよ、なんの不満もなかったハズなのによ

その不満のはけ口も、矛先も分からないままでよ

本気で世の中変えられると思って、大学のセイガクの時

大暴れし始めちゃったんだよ。マジで・・・。

でよ、根本的に一本筋の通った共通の信念やら、目標みたいもんはなんもなくてな

ただやたらと頭数揃えて、「気にんね~!気にんね~!」つって

大学の校舎占領したり、立てこもったり、郎党組んで悪さしたりさ

まじめに勉強したい奴とか、マジに夢を持って生きてる奴らから言わせれば

こんときのことはほんと、迷惑この上ないことだったんじゃね~か?・・・

ま~、あれだ、「赤信号、みんなで渡れば怖くない!」なんつって

同じ世代のビート・たけしっつー、いろんなことやって稼いでた奴が当時言ってよ

すんげ~馬鹿ウケしてたくれ~に、集団郎党意識みたいもんがあったんだろ・・・。

なんせほんと

同じような不満だけ言ってるような奴らが目一杯そこらにいたもんだから・・・。

それになんたってよ、こん時の世代の奴らみんなしてよ、右向けば右ってノリでさ

集団行動が好きで、個性もへったくれもね~もんだから

後になって「団塊の世代」とか呼ばれて馬鹿にされてんのにさ

何故か呼ばれてた本人達は喜んじゃってるの。

ウケんだろ?!

がっハッハッハ!

 

でな、こんなことして日本中騒がしたのに

結局、結果は、なんも変えることは出来なかったのよ。

そん時の世の中を・・・日本を・・・。

でよ~、こっからが性質(タチ)が悪くてな

その大暴れした本人達は、その結果を認めることは絶対なくてな

自分たちがなんかして、この世の中を変えたって、思ったワケだ。マジで。

でな、こんなワケのわからんプライドを持って

しかもそのプライドがやたらと高い奴らがよ、すんげ~頭数いるんだぜ

そんな奴らがいっぱいになる世の中って、一体ど~なると思うよ?

なんでもかんでも、とにかく、とんでもね~競い方をするようになんの。集団で。

そんでな、そんな自分の生き方つーのを

これっぽっちも間違ってるとは思ってね~から、余計に性質が悪くてよ

自分達の考えや自分達のやりたかったこと、されたかったことをよ

ヤタラめったら押し付けるようになっちゃったんだよ・・・。

それがな、例え間違ってるとか合ってるとか、善とか悪とか関係なくてよ。

もぉ~あと先考えて行動するなんてことなくてよ

「間違っちゃったらまた別のことやりゃ~いいべ!」ってさ。

そんなんだからさ、競った結果が

これまたダメな結果を生むことになっちゃって

今度は、「競わず仲良く行った方がいいでしょう~・・・」とか

「そんな疲れること繰り返しても意味がないね~・・・」とか

また言い出したりしちゃうの・・・。

そんなのがよ、親になるの。

子供はたまんね~だろ?なんでもかんでも押し付けられて

言われることはコロッコロ変わっちまうんだから・・・

ガキなんか、頭ん中も体もパンパンになっちまうんだぜ!

でな、結果、自分のこと自分で当たり前に出来る奴が少なくなっちまって

その姿見てアセって、あとから何とかしようとしても

もうね、手遅れになっちまってんだよ。そん時は・・・。

したらよ、出るのよ・・・得意のセリフが・・・

「も~その後のことは私らは知りません。ど~ぞ御勝手に。」ってヤツがよぉ・・・

がっハッハッハ!

で、そんなことされて

育ってきた子供が、俺らおじいちゃんちの世代っつ~ワケだ・・・。

がっハッハッハ!・・・・・

  

 

 

 

Vol.7に続く・・・・・

 

  

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2009年2月24日 (火)

ブルー・ブルー・ブルー・・・ Vol.5

Mary.J.Blige+U2-One

照りつける太陽光線と、南の国を想わせる海は

何故か眩しさや、灼熱の刺激を体感として与えることはなく

見上げた空には、常夏らしくない、雲ひとつとない空に

美し過ぎる程の「スカイブルー」が見渡す限りに広がり

その下にある海には

透き通った海水が、見渡す限りの海原を

これも呼吸を忘れてしまうほど美しい色を輝かせ

その色は、空よりも濃い青色に染めた「マリンブルー」となっていた。

そしてその空間は、ただ快適さだけを感じさせてくれる不思議な気候で

更に目の前には、美しくも完璧な6ftのライトの波が

定期的に、規則正しく5つの列を伴って

その姿を魅せては消えてゆく景色が確かに存在していた・・・。

 

僕らはピークに向かって再びパドルをはじめた。

僕は列の一番最後尾で

嬉しそうにはしゃぐみんなの姿を眺めながら

どいうわけか、在りし日に語ってくれたおじいちゃんの昔話を

独り、静かに想い出していた・・・・・。

 

 

ゴロー。おじいちゃんが生まれた国はな、東洋のはずれの「日本」ってとこだ。

おじいちゃんの親、つまりお前のひいじいちゃん、ひいばあちゃんは

高度成長期ってな時代に生まれたのよ。

そん時の世代の人や、その親の世代の人達はな

そのすぐ前に起きたデカイ戦争の

こてんぱんに負けちまった分をよ、必死んなって取り戻そうと

そりゃ~国中の人全員が、脇目もふらず汗して働いててな

その結果よぉ

負け分を取り戻すどころか、十分お釣りがきて

自分たちの国じゃ、「とてもじゃねーけど使え切れね~!」てなくらい

国を発展させちまったんだ・・・。

 

信じられっか?

ほんの少し前の時代にはさ、「ちょんまげだ!刀だっ!」つって

「外国なんてしらね~よっ!」って

チマチマやってただけの、ちっぽけな島国だった国がだよ

洋服着て戦争仕掛けるようになっちまったらよ

あれよあれよと外国のいいトコ取りして、勝手放題するようになってさ。

で、いい気になってたんだなきっと

止せばいいのによ、勢いあると勝手に思ってたもんだから

ま~た仕掛けちゃったんだな。

したらよ、仕掛けに行ったアメリカに

当然のように返り打ちにあって、こっぴどくやられマクっちゃって

「やっぱり戦争じゃデカイ国に勝てね~っ!」ってことで

もともと負けず嫌いだったのか、いろんなこと意地になって取り返そうとしたら

たった2、30年間で

「日本は世界と肩を並べらる先進国で、お金持ちの国だ!」なんてよ・・・。

 

そんな、とにかくすげー時間が速く進んだ時代でよ

今まで軍とか政府のお偉いさんや、貴族やデカイ財閥会社の社長さんとかの

金持ちしか持ってなかった車も、一家に一台になって

じいちゃんが大人んなった頃はよ~

「運転出来りゃ~、一人一台」ってなことになっちまった・・・。

って、んなこたあ~「グランマ」がとっくに教えてくれてるか・・・。

がっハッハッハ!・・・・・

   

 

 

 

Vol.6に続く・・・・・

 

 

 

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2009年1月22日 (木)

ブルー・ブルー・ブルー・・・ Vol.4

Sheryl Crow-My favorite mistake

僕はインサイドのチャンネルで待つみんなから

祝福のハイタッチで迎えられると、体中に喜びを表しながらそれに答えた。

そして興奮冷めやらぬまま

僕が今乗ってきた波の方へ振り返るように、体の向きを変えた。

すると、僕の乗った次の波をすぐに捕まえ

僕とは違うラインを描きながら素晴らしい波を乗りこなしている

55(フィフティファイブ)兄さんの姿が見えた。

そんな55兄さんの姿にみんなと一緒になって

のどがが張り裂けそうになるくらい歓喜の声を上げ、エールを送ると

きっちりインサイドまで、何回もターンをして魅せた55兄さんを

チャンネルで待つ僕らのもとに迎えた・・・。

 

55兄さんは僕らの待つ場所までしっかり乗り継ぎ

プルアウトしてすぐに僕のそばまでやって来ると

「このヤロー!やるじゃないか!!」

叫びながら僕に抱きついてきた。

その、ボードから飛び出してきた55兄さんが合図となり

僕は再びみんな揃った兄さん達全員に祝福を送られることとなった。

跨る相棒から引きずり降ろされ

今日は僕にとって「特別な日」であることを知っている兄さん達に

まるで生きている喜びを教え込まれてるみたいに

満面の笑顔で何回も海に沈められた。

そんな目に合いながらも僕は

喜びを体中で表しながら大声を上げて歓喜を叫んでいた。

そしてどうしてなのか

あの最高の波を乗りこなした実感と

本当に大好きな人達と同じ気持ちをシェアできた喜びに

苦しくもなんともなかったハズなのに

僕は何故か涙が止まらなかった・・・。

しばらくの間、5人の兄さん達に交互に海に沈められ

やっと顔を出した僕を今度は

細くて皺だらけなのに、不思議と大きくみえる手が迎えてくれた。

「ゴロー、めちゃめちゃカッコよかったぜ!」

そのしわがれた声と、皺だらけで日に焼けた真っ黒な手と顔の

何度も見た、絶対忘れることができない

大好きな、あの、笑顔のおじいちゃんの姿が僕の目の前にあり

そして僕を迎えてくれた。

「ありがとう!おじいちゃん!」

そう答えた僕の満面の笑顔の顔には

間違いなく涙がつたっていることが分かった・・・。

 

僕たち兄弟は皆、全員クローンである・・・。

だから正確には、兄弟と言って良いのかすらも分からないが

僕は生体培養液水槽から、初めてこの世に出る前から

兄さん達の姿を知っていて

僕より早く、生体培養液水槽から出た全てのクローン達は皆

誰もが僕と同じ顔であり、同じ身体つきであるけれど

その僕と同じ姿をした人間は、全て「兄さん」と呼ぶことを

僕は初めから教えられて、生体培養液水槽の外に出て来たのだ・・・。

僕たち兄弟、つまりここにいるクローン達は

水槽から産まれ、その初めの5年間は水槽の中で育ち

更にその水槽の中の5年間の間で

脳も体も、成人と呼ばれる姿にまで一気に成長する。

水槽の中でぐんぐんと

目まぐるしく成長する僕らの身体は、電気療法の仕組みで

外の生活には全く影響のないくらいの骨格や筋肉、それに臓器や神経といった

あらゆる体幹を生成するもの全てが、5年という短期間の内に授けられ

脳も同様に

普通の人間が20年の歳月をかけて詰め込めなくてはならない情報や知識を

まるで意思を持っているかのような人工知能を備えてある

完全オートの、完璧に独立制御された

「グランマ」と呼ばれるコンピューターシステムと、そのプログラムにより

たった5年の間に

心身共に全く違和感を感じさせることなく

人間として生きるために必要なあらゆることが

水槽の中で、事前に詰め込まれる。

そうして産まれてきたのが僕たち兄弟・・・

クローンだ・・・。

 

そんな反動による影響なのか

それとも神様の為す業を冒瀆したような、僕らの存在への罰からなのか

5年経ち、生体培養液水槽から出られる身体となっても

水槽から出て、外の世界を自由に動くことが出来る時間には限りがあり

更にその時間は非常に短く、約3時間程度。

その後また3時間余りを

やはりまた、生体培養液水槽の中で過ごさなければ

たちまち身体中の細胞が死滅し

僕たちは死んでしまう・・・。

更に驚くべきことに

若い青年の身体を保ったまま、僕らの成長はそこで止まり

そしてその、青年の時間が止まったままの

その身体の寿命はとても短く

僕とすぐ上の55兄さんは

優秀なコンピューター、「グランマ」の

完璧な計算システムで確立された生体管理プログラムと

おじいちゃんや兄さん達が継続し、研究し続けた技術開発の進歩と努力によって

水槽で育った期間を含めて

最長15年を人間として生きることができるようになった。

それまでの51兄さんから54兄さんまでは最長10年・・・。

その前の50兄さんから前のクローン達に限っては

生体培養液水槽から出ることを一度も叶わずに

そのまま水槽の中で、静かに死んでいってしまったらしい・・・・・。

 

  

 

 

Vol.5に続く・・・・・

 

 

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2009年1月19日 (月)

ブルー・ブルー・ブルー・・・ Vol.3

U2-Beautiful Day

「ドオォォォー!」という波の砕ける音が

バレルに包まれた瞬間

「コォォー・・・」と、洗礼されたようになんオクターブも高く聴こえ

そしてそのまま無音になったような気がした。

雲一つない美しい青空から

降り注ぐ太陽光線に照らされ輝く、波のカーテンに包まれたこの世界は

生きたまま天国にいるような・・・もしくは何かの神様に抱かれているような・・・

そんな錯覚を僕にもたらしてくれる・・・。

 

そこはサーファーしか知ることのない

そして全てのサーファーを魅了して止まない本当に特別な空間だと

僕はおじいちゃんに教えられた・・・。

「この特別な空間はな、本当に選ばれた特別の人間しか経験できね~んだ。

しかもよ、サーファーなら誰もが経験できるって、わけでもね~んだ・・・。」

(そう言って僕に教えてくれたおじいちゃんの言葉通り

僕も選ばれた人間になったのだろうか?

あ~・・・でも、この世界を、感覚を、僕は永遠のものにしたい・・・。

天国では波乗りができるのだろうか?)

そんなことを一瞬の間に考え

バレルの出口を集中しながら見ていると

バレルの出口の向こう側からおじいちゃんと兄さん達が僕に向かって

大きな歓声を送っているのが分かった。

僕は身構えた体の力を抜き、余裕を見せた態度を取って

胸元にかかげた左手に、軽くシャカサインを作って答えた・・・。

僕は思う・・・

こんなに興奮して嬉しい想いは何度経験してもやめられない・・・。

それに今日は、「特別な日」でも、あるから・・・。

 

ガッポリと開いた波の

最も素晴らしい部分でもあるバレルポジションを抜けると

まだまだ続く波のショルダーは

あらゆる技を繰り出せるような傾斜を保ち

そのまま遥かなインサイドまで、その素晴らしい形をキープし続けた・・・。

 

この長く美しい波の

ウネリの届かない場所であるインサイドのチャンネルで

僕のライディングに歓喜の叫びを

僕の変わりに叫んでいるかのように

身振り手振りで大騒ぎをして待っている兄さん達と

その後ろ側で

全てを静かに見守るように見つめているおじいちゃんのすぐ目の前まで

僕は波の上下を

破裂しそうな心臓と気持を昂らせながら、出来る限りのアイデアを活かし

ハイスピードを出し続ける相棒を心のままにコントロールした。

そして波は

更にインサイドにある浅いリーフの棚に差し掛かると

その美しいウネリの姿は全てが白い泡となり、消える。

僕はその浅いリーフに向かって波がヒットする前に

途中のウネリから静かにプルアウトしパドルの姿勢になると

まるで今の僕と同じように興奮した眼を輝かせ

歓喜の声を上げ続けているみんなのもとへ急いで向かう。

そして青空に向かって差し出している全員の手と

海の上で「ハイタッチ」をしながら

「イエーイ!!」

僕はいつものあいさつをみんなと交わした・・・。

 

51(フィフティワン)兄さん、52、53、54兄さんと、そしておじいちゃん。

兄さん達は誰も例外なく

僕と同じ顔に同じ体系であるが、僕は兄さん達を誰とも区別がつく。

そして兄さん達も皆、そんな僕らを誰とも区別がつく。

それに一番年下の僕だけが

そんな兄弟達の中で一人だけ、「ゴロー」と

おじいちゃんがニホンゴで考えてくれた名前で呼ばれている・・・。

そのおじいちゃんは一人

確かに僕たちと顔が微妙に似ているかもしれないが

その見た目を僕たちと比べると

当たり前だが、その姿はずいぶんと歳を取っていて

髪の毛は薄く、その薄くなった頭髪はほとんど白髪となり

顔中に蓄えた髭もそのほとんどが白くなっていた。

だけどそのサーフィンの技量を観ると

年齢を感じさせない驚くべきレベルから

恐ろしいほどの運動能力を備えていることが分かる。

そんなおじいちゃんの身体つきは

とても80歳近い老人の体とは思えないほどの筋肉が逞しく面影を残していて

何一つ無駄な肉は見た目だけでは全く発見することは出来ない。

けれどつやのない皮膚の状態と顔中を覆い尽くすしわの数が

ただ年齢と比例するかのように無数に存在し

その声と話方を聞けば

やはり結構なお歳を召した老人であることが解る。

そしてそんなおじいちゃんは何故か

同じ顔、同じ身体つきをした僕たちを

僕らみたいに誰とも区別することができるから

僕たちはいつも不思議に思っていた・・・。

それに僕らはみんな

そんな素晴らしいおじいちゃんが大好きで

そんなおじいちゃんのようになりたいと

いつもいつも想っていた・・・。

だけど僕たちはおじいちゃんのように人間らしく

老人のときを迎えることは出来ない・・・。

いや、そうなることを許されることは

決してない・・・・・。

  

 

 

 

Vol.4に続く・・・・・

 

 

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2009年1月16日 (金)

ブルー・ブルー・ブルー・・・ Vol.2

Guns & Roses-Sweet child o’mine

「今日は特別な日だ!」

僕が今立っている場所周辺は、沖の海の中以外僕しかいない。

だから誰かに聞かれることもないので

僕は大きな声でそう叫びながら、相棒と一緒に海へと飛び込んだ。

海水は想っていた通りに暖かい。

ウエットスーツは勿論必要ない。トランクス一丁だ。

トランクスはすっごいお気に入りの、10年代の初期モデル。

しかもデザインは

10年代に前人未到の1ダースとなる、12度のワールドチャンプに輝き

伝説となったサーファー、「ケリー・スレーター」モデルだ。

このトランクスを履いていると、なんだか僕も自分のサーフィンが

いつも憧れ抱いていたケリーのように、なれる気がする。

それに実際サーフィンも、かなり調子が良くなるもんだから

今では相棒と同じくらいお気に入になってしまった代物だ・・・。

 

僕は、実はケリーのことを

おじいちゃんに見せてもらった映像と

おじいちゃんが教えてくれた話の中でしか知らない。

そのおじいちゃんは、サーフィンの話をする時には必ず

ボロボロになった当時のトランクスを両手に掲げながら

身振り手振りで、面白おかしく僕たちに話聞かせてくれた。

しかも何故か、サーフィンの話の大半はケリーのことばかり。

あんまりおじいちゃんがケリーのサーフィンの話ばかりするもんだから

僕はほとんど洗脳されたように、ケリーのことに夢中になってしまい

どーしてもケリーみたいなサーファーになりたくなって

何回も、何日も、おじいちゃんに必死に頼みこんで

結果僕だけが、おじいちゃんからそのトランクスをゲットすることが出来た。

そしてその、年代モノの、使い込んでボロボロになっていた物を基に

もう一度自分でリメイクし直してからは

サーフィンをするときはいつも履いている

僕にとって欠かすことの出来ない、大事なアイテムの一つとなっている・・・。

 

僕がパドルでピークに向かっている時

そのおじいちゃんが

最高のバレルを見事にキャッチし、更にメイクし続けている姿が目に入った。

その見事なおじいちゃんの姿を観たら

どういうわけか急に、思わず涙が出てしまった・・・。

だけどおじいちゃんから僕のところまでは、まだまだ距離があって

僕が今、涙を流して泣いていることなどおじいちゃんに分かるはずはない。

僕だってこの涙には、本当に不意を突かれたんだから・・・。

僕は軽く海水に顔を付け

左右に顔を振り涙を拭ってからパドルを止め、相棒に跨ると

僕の方へ向かってくるように

何秒間もバレルの中を走り続けているおじいちゃんに

両手を上げて、目一杯の声を張り上げながら歓声を送った。

するとおじいちゃんは、ライン上から少し外れた

インサイドにいる僕の姿と歓声に、すぐに気がついてくれた。

そしてバレルの中から

僕に向かってカッコつけながら、一瞬だけ「シャカサイン」を送ると

僕からはその姿が見えなくなる、更にインサイドの遠くの方まで

波の中に包まれたまま、気持ち良さそうに走っていった・・・。

そんなおじいちゃんの姿を、見送ってすぐに僕は

次々とセットを捕まえ乗ってくるみんなに向かって

何故か次々とあふれてきてしまう、止まったはずの涙を

また海水で拭いながら大声で、狂ったような歓声を上げ見送った・・・。

それをセットの数だけ見送ったあと

僕は相棒に跨った姿勢をパドルの姿勢に戻し

ピークに向かってパドルのスピードを速めた・・・。

 

「ゴロー、おはよう!」

波のピークの、ブレイクポイントである

ウェイティングポジション付近に近づいた時

僕より最初に挨拶してくれたのは

僕のすぐ上の兄さんである「55(フィフティファイブ)兄さん」だった。

「兄さん、おはよう!さっきおじいちゃん、すっげ~バレルをメイクしてたよ!」

「ああ。凄くいい波だった・・・。

そのあとも、しっかりと4本のスウェルが入って、みんな次々と乗って行ったよ。

なんせ今日はお前の特別な日だからな。

オレはお前のあとに乗ろうと思って、お前が来るのを待っていたんだぜ。」

「兄さん、ありがとう。僕もバレルをゲットして

インサイドにいるおじいちゃんにシャカサインをお返しするよ!」

「途中でコケルなよ!・・・ほら、セットが来たぜ!」

「イエースッ!!」

僕はパーフェクトな、6feetの波のピークを追いかけ

いつものように奥のビハインドピークから

レイトに、波のボトムに落ちるようなテイクオフをメイクして

そのままレールをセットすると

軽く左手で波のフェイスを優しく撫でるように、少し身をかがめながら

あとは波とボードのまかせるままに

僕はその身を、波のバレルの中に置いた・・・・・。

 

 

 

 

 

Vol.3に続く・・・・・

 

 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年1月 9日 (金)

ブルー・ブルー・ブルー・・・ Vol.1

Coldplay-Viva La Vida

何処を見渡しても、空には雲一つない青空が壮大に広がっている。

その青空の色はまるで

不純物何一つとないラピスラズリを丁寧に磨き上げて

宝石以上に価値のありそうな特種レンズを創り

それ使って輝く太陽を見ているように思えるほど

美しくも壮大な「スカイブルー」が、見渡す限りの空を覆っている。

 

僕は無意識のうちに両手を広げ

鼻から大きく息を吸い、ゆっくりと目を閉じた・・・。

目は閉じたまま

空に向けた顔の方角を、まっすぐ水平線と平行になるように

ゆっくりと顔を下ろし

そしてゆっくりと、吸い込んだ息を吐きながら

またゆっくりと瞼を開ける・・・。

僕の目の前には

青空の顔料の素となったような

空よりも濃い青色をした、美しい「マリンブルー」の海が見えた。

しかし何処までも続いている青空のように

壮大で美しい青い水平線は見えない。

そのかわり、美しいウネリが5つほどの規則正しい列となって

遠い沖から訪れては崩れ

この空にはない雲の白色を、その青い海に造り出しては消えている。

それは水平線を隠すほど、大きく美しい波の姿だ。

僕はその美しく崩れる波の姿に、今度は全ての感情を奪われながら

透明に近いブルーのキャンパスに、書いては消える不思議な白色顔料を

ひと筆で右側から左側へと

まるで僕に向かって書いてくれているように流れ動く

自然が創り出した美しく崩れる波の情景を

息をする事さえ忘れ、何度も、何度も目で追った・・・。

すると今度は、その美しい波の光景に目を奪われながらも

僕の顔は勝手に笑顔となり

とたんに胸が躍るような喜びが湧きあがった・・・。

けれど僕はいつものように

その気持ちを少しずつ落ち着かせながら

顔は海に向けたままゆっくりと、入念なストレッチを繰り返した・・・。

 

体がすっかりほぐれると今度は

僕にいつもいい想いをもたらしてくれて、それでいてそいつに

意思や感情といったものは絶対ないはずなのに

まるで親友や恋人、いや、体の一部くらいに思っているほど

僕には欠かせない相棒となっていた

「56」と、大きく手書きのブラシを施したサーフボードを、大事に抱える。

そしてストレッチと同じく

海に入る前の大事な儀式となっていた

神様にサーフィンが出来ることへの感謝の意を込めた

僕が勝手に考えた、僕しか知らず僕しか出来ない

僕だけのオリジナルな祈りを捧げながら

集中力を高めて、またしばらく僕は目を閉じる・・・。

(いい波、沢山乗れますように。ケガやボードクラッシュがありませんように・・・。)

そんなふうに、僕だけのオリジナル祈りの仕上げは

図々しくも神様に、一方的なお願いを3回繰り返して完了だ・・・。

そして相棒を小脇に抱え直すと、いつものゲットポジションへと急ぐ・・・。

 

波は僕の立っている岸から見ると

沖へ100mくらい行った場所でブレイクしている。

しかし波が一番最初に崩れる右側のピークまでは

ここからゆうに500m近くあるだろう。

それはこのポイントが、それほど長い距離を伴い波が崩れているからだ。

それでも、リーフの切れ目であるチャンネルから

遠回りしながら沖に向かえば

ただの1発も波をくらうことなく、難なくピークまで行くことが出来る・・・。

岸から覗いて、ピーク周辺を肉眼で細かく確認するには

このポイントは少し距離があるが

サーファーの数を確認することくらいは十分できる。

だけど僕は、このポイントに入っている人数も、入っているメンバーも

すでに分かっていることなので、そんなことは一切気にする必要はない・・・。

それに、この美しい海の水の暖かさも知っているし

波の確かなサイズも、もうすでに知っている。

そしてセットの数さえも・・・・・。

  

 

 

 

Vol.2に続く・・・・・。

 

 

| | コメント (0) | トラックバック (0)